鈴井監督 ネタばれ注意

水曜どうでしょうでもおなじみのミスターこと、鈴井貴之氏の監督作品を2つ見た。「銀色のエンゼル」と「man-hole」だ。どちらも面白かったが、気になった点を書き残しておこう。

「銀色のエンゼル」は一言で言ってしまうと、盛りだくさんすぎる。
1つ目に、登場人物。コンビニの深夜の店員が、実は指名手配犯だったなんて必要あるかな。これがドラマだったなら、登場人物がいろいろなキャラクターを持ってて、話に厚みが出て面白いかもしれないけど。2時間の映画だと消化しきれません。繰り返し見る人にはいいのかもしれないです。
2つ目に、ストーリーの発散。最終的には、めでたしめでたしなんだけど、銀のエンゼルはどこに行っちゃったの?って感じ。別にエンゼルがキーアイテムになって、話が展開していくわけでもなかったし、雪虫という第2のキーアイテム的なものまで登場しちゃう。
3つ目に、ワンシーンに詰め込みすぎ。ノイズが多くて、重要なシーンでうまくフォーカスしていけないのだ。例えば、コンビニ店内での重要なシーン(お酒をすすめられるシーン、娘が帰ってくるシーン)で、コンビニ店内のBGMが、かかってるのだけれど必要かなぁ。気が散ってしまった。あと、ローソンの広告的な要素がたくさん出てきて少し目ざわり。
と、かなり辛口に書いてしまったけど、雰囲気は嫌いじゃない映画です。NACKSのメンバーも面白キャラで参加してたしね(笑)。

「man-hole」の方は、一言で言ってしまうと、卒業制作な感じ、いい意味で。荒削りで、監督の感性がよく出ていると思う。映像が荒くて、セピアな感じも今から見ると作風とよく合ってる気がする。北村一輝の恋人が、心中を図るシーンで、安田さんと絡み合いになって、撃たれそうになる場面があるんだけれど、結局弾が逸れて大事には至らない。それを表現するために、逸れた弾に撃ち抜かれたクッションの中の羽毛が舞うシーンが出てくる。こういう表現って今となっては古臭いのかな。僕は嫌いじゃないです。

両方の作品に共通するテーマは、父と一人娘の不仲。最終的には親父の弱さや自分に対する愛を感じ取って、意思疎通ができるようになる。これって、自分の娘さんに対するメッセージだったりするのかなぁ。鈴井さんって無口で不器用な親父って感じがするんだけど。あと幸せの○○的なアイテムが映画のタイトルになってる。これに関しては意図がよくわからないです。題名にするほどの重要なアイテムかな―って感じがするんだけど。

ちなみに、wikipediaに書いてあったネタですが、man-holeで音尾くんが乗っていたカブはどうでしょうで使ったものと同じだそうです。

おしまい