【まとめ 地震動】理論地震動評価4

遠方場の理論地震動
震源スペクトル、有限震源における破壊伝搬効果、コーナー周波数

遠方場の変位スペクトルと震源スペクトル
震源スペクトルでωを0に近づけたときの値が地震モーメントに一致する。

破壊伝搬する有限震源による遠方のS波
点震源でなく、有限な広がりを持つ断層面上の一点で起こった破壊が断層面上を伝搬することを考える。
断層の大きさに比して十分に遠方の観測地点における地震波はどのようになるだろうか?

ユニラテラル破壊伝搬する有限長線震源による遠方でのS波の変位波形
断層幅Wが断層長さLに対して十分に小さい線震源における変位波形を考える。震源時間関数として、ランプ関数を用いると、変位波形は台形状のパルスとなる。破壊伝搬速度をS波、P波速度でそれぞれ除した値が大きいほど、ディレクティビティが顕著にみられる。

ユニラテラル破壊伝搬する有限長線震源による遠方でのS波の変位スペクトル
コーナー各周波数は破壊伝搬方向と観測点の方向とのなす角によって変化し、破壊伝搬方向にある観測点の方がコーナー周波数は大きくなる。つまり高周波数成分が増える。破壊継続時間と立ち上がり時間に関係するコーナー周波数で、震源スペクトルの包絡形は制御される。最初のコーナー周波数までの低周波数領域では点震源近似が成り立つが、それより大きい高周波領域では破壊伝搬に関する震源内部の不均質性の程度が観測点でのスペクトルに大きく影響する。平均的な破壊伝搬速度は震源規模によらないが、規模の大きい地震ほど破壊伝搬時間は長くなり、コーナー角周波数も低周波側に移動する。よって大きい地震ほど、震源内部の不均質性の影響が低周波から現れやすい。

ユニラテラル破壊伝搬する矩形断層による遠方でのS波の変位スペクトル
ハスケルモデルを考える。立ち上がり時間、断層長さL、断層幅Wに関係したコーナー周波数が得られる。しかし、実際の地震記録の高周波数成分はω3乗モデルでは過小評価であり、ω2乗モデルあるいはそれに近い場合が多い。矩形モデルに不均質な破壊過程を考慮したモデルは合理的なモデルの一つと考えられる。逆にハスケルモデルのような巨視的断層モデルでは、地震記録から求められた震源スペクトルのコーナー周波数よりも高周波数成分をシミュレートすることは困難である。震源スペクトルのスケーリング則。

巨視的断層モデルによる理論地震動の適用性